「伊勢かつ丼」愛と喝采の日々・・・

●平成13年10月、伝説は生まれた。 【お披露目編】

 約3カ月の試行錯誤の末、ついにメニューとして発表する時が来た。
時は平成13年10月・快晴。事前に大々的にTV、インターネット、新聞チラシでCMを流した・・・という訳ではなく、何の宣伝もせずに、ひっそりとメニューに加えただけの実に地味〜〜なデビューであった。
 常連さんの内でも新メニューに気付く人は少なく、店主が「こんなものを作りましてね〜」と話し掛けないと仲々オーダーまでには至らなかったそうだ。
 もともと面白い事の好きな店主で、この「伊勢かつ丼」にしても楽しみ最優先といった感じだったので、まったくオーダーがなくてもヤキモキもせず「その内なんとか出るだろ〜」といった具合だったが、私としては必ず評判になる時が来ると信じていた。それだけの素材と味が確かにあったからだ。
 一週間、二週間もすると少しずつ注文が出るようになってきた。時間がたてば注文は必ず出ては来るが、一番の興味は「果たしてお味の感想は?」というところだ。リピート客が現れる事が一番重要なポイントなので、従来のカツ丼のお客がこの新しい味を受け入れるかどうかが気掛かりだった。

●あの素晴らしい味をもう一度 【破竹の躍進編】

 一番心配だったのは、これまでの玉子とじに慣れ親しんだお客が、玉子抜きの「伊勢かつ丼」をカツ丼と認めてくれるかどうかという事だったが、概ね抵抗なく受け入れてもらえたようだった。初めはコッテリ感がなくて物足りない印象を受けるかも知れないと考えていたが、意外とそんな声は聞こえてこなかった。
 「とりあえず受け入れてもらえたみたいだ・・・。」ダメモトでやってみた企画だったが、思いのほか好評だったので内心ホッとしていた私であった。
 一ヵ月もすると、ちらほらリピート客も現れた。まだまだ僅かではあったがリピートがあるという事には大変勇気づけられた。味の好みというものは十人十色であるが、少しでも気に入られたという事は将来確実に何割かの人たちに受け入れられるという事だ。あとは積極的に改良に取り組み、より多くの人にマッチさせてゆくのみ!
 そんな心意気で数カ月が過ぎた頃、久しぶりに訪れて様子を聞いてみると、店主Kさんは手ごたえを感じている様子で「来店すると伊勢かつ丼を再注文する人も増えてきた」と嬉しそうに話してくれたのだった。
 その後、伊勢かつ丼は安定した人気を得つつ一年目を迎えようとしていた。

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●更なる進化を求めて・・・ 【ファミリー誕生編】

 時の経つのは早いもので、伊勢かつ丼もすっかり定番の仲間入りをして誕生から丸一年が過ぎ、二年目の新しい年を迎えた。この年の正月元旦には新聞折込みチラシに「伊勢かつ丼」の紹介を入れたのだった。
 正月のチラシの山に埋もれたのか、反応はイマイチだったが、それでも付録の割引券を持ってきてくれたお客もいたようだった。反応はどうであれ、私はKさんの意欲に‘今年はもっと伊勢かつ丼が進化する’気配を感じたのであった。
 平成15年。予感どおり、この年は伊勢かつ丼の新しい歴史の始まりであった。
 2月のバレンタイン・デーに引っ掛けて、ハート型の伊勢かつ丼を作ったのが始まりで、毎月毎月「季節の伊勢かつ丼」を創作するきっかけとなった。

 

<この稿つづく>

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